葬儀に関係するマナーは、実際にその立場になってみないと分からないものです。
香典返しもそのひとつですね。
香典返しの品には掛け紙(のし紙)を付けますが、その名前の書き方には何か決まりがあるのでしょうか?
いざという時のために身に着けておきたい、大人のマナーを確認しましょう。
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のし紙は付けません!?
本題に入る前に、ちょっと豆知識を。
香典返しには、のしは付けません!
えっ!?と思われた方は、結構いるのではないのでしょうか?
のしとは、下の画像の赤丸で囲ってあるもののことを言います。
包む紙全体のことではないのです。
のしが付いている紙のことを、「のし紙」と言います。
のしは、おめでたい時に付けるものです。
従って、何がどう転んでもおめでたくはない香典返しの品物には、のしを付けることはありません。
なので、紙の名前も、「のし紙」ではなく「掛け紙」と言います。
間違えやすいことですが、贈り物のマナーとして覚えておきたいですね!
それでは次の章から、掛け紙の名前について触れていきます。
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誰の名前を書くの!?
香典返しの掛け紙に書く名前には、次の2パターンがあります。
- 故人の姓を書く
- 喪主(施主)の名前を書く
それぞれ詳しく説明しますね。
故人の姓を書く
最も一般的な書き方です。
下の図のように、姓のみ、または、○○家という書き方をします。
喪主(施主)の名前を書く
例えば、妻の親が亡くなり、夫の親しい人から香典をいただいた場合などです。
故人とあまり縁のない人に香典返しをするときには、故人の姓ではなく、喪主(施主)の名前を書く場合があります。
昔は姓のみが当たり前でしたが、最近ではフルネームを書く人も増えてきているそうです。
喪主と施主の違いって何?
喪主とは、遺族の代表者となり、葬儀を行う人のことです。弔問を受ける役割を担います。
施主とは、「お布施をする主」のことです。
その名の通り、葬儀にかかわる費用を負担して、葬儀の運営をする人のことです。
最近は、喪主と施主を兼任するのが一般的です。
しかし例えば、夫が亡くなった場合、妻が喪主、息子が施主というケースがあります。
名前の書き方は、土地によって習慣があります。
例えば、名古屋や岐阜では、○○家と書くのが習わしです。
経験者や、業者に確認してみるのも、ひとつの方法ですね。
濃く書く?薄く書く?
これも気になるポイントですよね。
香典は薄い墨で書きますが、香典返しの場合は、濃い墨がいいのか?薄い墨がいいのか?
これに関しても、その土地の習慣に沿うのが一番いいかと思いますが、基本的には、濃い墨でも薄い墨でも大丈夫です。
そもそも、香典に薄い墨を使う由来は2つあります。
ひとつは、死の報せは突然なため、慌ただしい準備の中で十分に墨を擦っている時間がなかったと言う説。
ふたつめは、悲しみに暮れながら墨を擦っていたら、すずりに涙が入って墨が薄まってしまったと言う説。
このように、香典を薄墨で書くのは、「突然の訃報だから」という理由です。
しかし香典返しの場合は、返すことがあらかじめ決まっているので、濃い墨で名前を書いても構わないそうです。
ただし、香典返しをする時期は、故人の死からまだ日にちが経っていない四十九日を過ぎたあたり。
「まだ悲しみは癒えていません」という意味から、香典返しの名前は薄い墨で書く場合もあります。
墨の濃さについては、掛け紙の印刷をする業者によってもまちまちです。
どちらも間違いではないのですね。
まとめ
香典返しに書く名前のマナー。
そこには、日本ならではの細やかな決まりや気配りがありましたね!
今回なぜこのようなテーマで記事を書こうかと思った理由は、父の姿を見たからなんです。
祖母が亡くなったときに(それも突然の出来事だった)初めての喪主で、右も左も分からず、悲しいのと忙しいのとで、父は神経をすり減らしていました。
香典返しが終わるまでは、遺族は本当にバタバタします!
こういうちょっとしたマナーをあらかじめ知っておくと、いざという時に役立つのではないでしょうか?
香典返しについては、こちらの記事もあわせて読むと知識が増えます。
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